研修の第6回目は、高松市内でキウイフルーツを栽培する株式会社キウイボムの中野さんのもとで行いました。
市内に約2haの圃場があり、さぬきゴールド、香緑、さぬきキウイっこを中心に栽培しています。この時期はキウイっこの収穫が最盛期を迎えており、初日に訪問した際も5~6名のパートさんがすでに収穫作業に入っていました。さぬきキウイっこは一般的なキウイフルーツと比べてたわわに実らせる品種であり、サイズはゴルフボールほどの小ささです。簡単に手で割って食べられる手軽さから、近年人気になっています。木になっているときは握っても潰れない硬さで、手で一度に3~4個もぎとっていきます。以前体験したことがあるオリーブの収穫にも似ているように思いました。
もいだ果実は腰に下げている袋に入れていき、いっぱいになったらカゴに移します。この時に、秀品と優品(日焼けや変形があるもの)、軟品(やわらかい)を仕分けします。キウイフルーツは衝撃を受けると柔らかくなる性質や、柔らかいものと一緒にしておくと周りの果実も柔らかくなってしまう性質があるため、移す際や検品の際は慎重に扱う必要がありました。また、圃場は基本的に水はけをよくするために斜面になっており、運搬機はタイヤではなくクローラー仕様。カゴを置く場所に気を付けないと倒れてしまうため気を遣いました。
大人数で一気に総どりしていくため、最初圃場を見た時は実が多すぎて気が遠くなりそうでしたが、気づけばどんどん進んでおり、パートの皆さんも和気あいあいと作業していたため、あっという間に終わっていきました。1日あたりの収穫は110〜130カゴで、1カゴは約12kgとのことでした。中野さんの気さくな人柄が、楽しい職場環境を作っているように思います。
中野さんは、JA出荷もしながら、直販にも力を入れています。全国を飛び回って営業しており、生産だけ頑張っていても利益がとれない、これからの時代は販売力がものをいうと仰っていました。加えて、香川県のキウイフルーツは、県オリジナル品種を中心とした他の果実とともに「さぬき讃フルーツ」としてブランド化を進めようと、行政が販売面のバックアップをしてくれることがメリットとのことです。
今回の研修で印象に残ったのは、「いくら儲けようかと収支を計算してばかりでは成功しない。経営が成り立たない前提で、それでも続けていく覚悟と農業を楽しめる気持ちが大事だ」という考え方です。実際に現場に入ってみると、うまくいかないことの連続で、自然相手の仕事で生計を安定させるのは簡単ではないという現実を改めて感じました。一方でキウイフルーツでの新規就農者は増えており、香川県産キウイフルーツの今後の可能性は未知数。栽培技術の伸びしろもまだまだあるようです。キウイフルーツに興味のある方はぜひ中野さんに相談してみてください。
香川県農地機構内、香川県新規就農・農業経営相談センターの担当がご対応します。
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