第5回目の研修は、東かがわ市水主にある近藤さんの農場で行われました。近藤さんは、アスパラガス60aを主軸に、水主米や減農薬野菜(ブロッコリー、カリフラワー、レタスなど年間約100種類)を栽培されており、直売所「ファーマーズマーケットこんちゃんち」も自ら運営。近藤さん夫婦と独立予定の息子さん、研修生1名、パートさん3名前後で経営されています。
午前中は主にアスパラガスの収穫を行いました。ハウスに入ると、モフモフとした枝葉が生い茂っており、土からはいくつものアスパラガスが顔を出していました。アスパラガスは1日で10センチも伸びるという話に驚きつつ、規定の長さ以上のものを根元からハサミで刈り取っていきます。適期のものを見逃すとあっという間に伸びて硬くなってしまい、養分も奪ってしまうとのことで、日々の観察と収穫のタイミングを逃さないことがいかに重要かを実感しました。生育面では水切れが最大の敵とのことで、毎日たっぷりと潅水を行います。収穫後は虫の有無を確認し、長さを整える「そろえ切り」をしてカゴに入れていきました。アスパラガスに付く虫は蛾の幼虫で非常に小さいため、見逃さないよう注意深く見る必要があり、かなり集中力を要しました。収穫作業と並行して、細いアスパラガスや形の悪いもの、切り落とした残渣を丁寧に取り除くことで、病害虫の発生を抑えながら高品質な太い茎を収穫できるそうです。ちなみにハウスは自ら中古ハウスを解体して移設してきたものとのこと。ほかにも自作のものがいくつもあり、自分でできることは自分でやるという考え方はコスト削減の観点でも見習わなければと思いました。
午後は、野菜苗の定植作業を体験しました。ブロッコリーの定植機を使わせていただきましたが、重い機械を畝の上でまっすぐ進めるのは予想以上に難しく、筋トレしなければ…と反省。カリフラワーやロマネスコ、レタスなどの野菜は品種ごとに手植えしました。暑い日が続いていたので活着前に萎れてしまわないか心配でしたが、植え付け後にちょうど雨が降ってくれたため水やりの手間が省け、自然のタイミングに助けられました。
「他人と同じことをするのが嫌い」という近藤さん。その価値観は、先駆的なマルシェ出店や直売所の開設、多品目栽培への挑戦といったことにしっかりと現れており、農業に対するこだわりが随所に感じられました。農業を始めた当時、地域ではJA出荷以外に取り組んでいる人がおらず、卸や飲食店と直接取引する農家は珍しかったそうです。「2~3年後に来たら、また新しいことをやってるよ」と笑顔で語る姿からは、現状に満足せず手探りと言いつつも常に変化を求める思いが伝わってきました。
近藤さんは「おいしさとは、数値で計れる面と気持ちの面の両方から成る」と話していました。同じ条件で作った作物であったとしても、顔が見える農家、有機で安心して食べられるという背景やストーリーを知っているだけで、食べる人の感じる「おいしさ」は全く変わってきます。私も、JA出荷だけでなく直売にも取り組み、“あなたが作ったものだから食べたい、他と違っておいしい”と言ってもらえるような農家を目指したいと思いました。
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