農家は作物のマネージャー

基本情報

研修受講 香川県地域おこし協力隊 織田航
研修場所 白井悠貴さん
(三豊市高瀬町)
研修期間 令和7年9月8日~令和7年9月12日

1日のタイムスケジュール

研修内容

研修の第4回目は、三豊市高瀬町にあるぶどう農家・白井さんのもとで行いました。白井さんが部会長を務めるぶどう部会は約90戸で構成されています。白井さんは10か所の圃場を管理しており、合計で約1haの広大な面積をほぼご本人と外国人実習生1名で管理しているというので驚きです。白井さんは「ぶどう栽培はオリンピックと同じ」と話されていました。収穫を含めていくつかの繁忙期がありますが、普段からその時期に向けて体調を最高の状態に整えているとのこと。毎日昼休みに筋トレをして体力をつけ、繁忙期には徹夜も当たり前。まるでアスリートのような生活ですが、それにより人件費を抑えつつ高品質を実現しています。

訪問してまず驚いたのは、白井さんがこの地域では「粒のパック売り」の先駆けだったということ。今ではすっかり定着した販売方法ですが、始めた当初は「ぶどうは房で売らないとぶどうらしさがない」「バラ売りはもったいない」といった声もあったそうです。白井さんはほかにも民泊との連携やキャンペーン企画、インフルエンサーとのコラボなど、様々な取り組みに挑戦しており、既存の考えや方法にとらわれない農業を目の当たりにできました。

初日はぶどうの圃場と作業の見学をさせていただきました。香川県で主流の雨除け栽培がメインですが、一部ハウス栽培も行っています。7時に到着すると、すでに外国人実習生の方がぶどうを袋から取り出しているところでした。一通り圃場を見学した後、ぶどうのパックを作る作業を体験しました。房の一粒一粒を注意深く見ながら軸からハサミでバラしていきます。バラした粒は再度目視で確認しながらパックに規定の重量まで綺麗に詰めます。高い品質にこだわる選果基準は、取引先から「もう少し緩くしてもいいのでは...」と言われるほど。今回の研修では、パック詰めのほかにも、出荷に同行し通常では入れない場所に入らせてもらうなど、貴重な経験をさせていただきました。また、研修3日目にはナスの収穫や管理を体験させていただきました。研修生の田中さんはナスでの就農を予定しているそうで、白井さんは田中さんに10a弱の圃場を完全に任せているとのこと。出荷先のさぬき富士農産とは長い付き合いがあり、単価が市況に左右されず、売上の見通しが立てやすいのがメリットだそうです。

さらに白井さんは、冷凍ぶどうの加工販売も行っており、JAへの出荷だけでなく自ら販路を開拓したいと考えている方にとっては、非常に参考になる取り組みだと思いました。また、情報を共有しながら技術を高め合える仲間や、労働力や商品を融通し合える関係性を築ける人を増やしていきたいという思いも語ってくださり、地域のネットワークで支え合う新しい農業のあり方も感じることができました。

白井さんにぶどうへの思いを聞くと、「僕がぶどうを作っているのではなく、ぶどうの木がぶどうを作っている。僕はぶどうたちのマネージャーとしてぶどうの職場環境を整えて、よりよいものができるようにサポートしているだけ」と話していたのがとても印象的でした。今回の研修を通して、ぶどうづくりの技術だけでなく、農業に向き合う姿勢や地域との関わり方についても多くの学びがありました。白井さんの働きぶりは近年のワークライフバランスと真逆のスタイルですが、これがリアルな稼ぐ農業。白井さんのもとで厳しい研修をやりきればきっと自信を持って就農できるはずです。

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